アメリカで草間彌生人気が止まらない! ダラス美術館で8年ぶりに代表シリーズの再展示が決定
テキサス州のダラス美術館は、2017年に作品収蔵・展示を行い大人気だった草間彌生の「インフィニティ・ルーム」シリーズの1作品を、2025年5月に再展示することを発表した。
ダラス美術館は2017年、ダラスを拠点とするラチョフスキー・コレクションと共同で草間彌生の「インフィニティ・ルーム」シリーズの1作である《All the Eternal Love I Have for the Pumpkins》(2016)を購入した。この作品は、鏡張りの小部屋に黄色地に黒の水玉模様のアクリル製カボチャ62個が並んでいるというもの。部屋に足を踏み入れた観客は、鏡の効果でカボチャが万華鏡のように無限に増殖し広がる不思議な光景を楽しむことが出来る。
同美術館の現代美術キュレーターであるギャヴィン・デラハンティは、2017年に発表した声明で《All the Eternal Love I Have for the Pumpkins》を、「60年にわたってコンセプチュアル・アート、ポップ、シュルレアリスム、ミニマリズムを横断してきた草間の先駆的な芸術活動の中で、最も強烈な革新の瞬間に焦点を当てた一大インスタレーション」と評している。
同作品を披露した2017年の展覧会では、一度に最大4人まで、45秒間のみの入室制限を行ったが写真撮影は許可した。すると「インスタ映えする写真が撮れる」ということも手伝って人々の長蛇の列が出来、会期は2カ月以上延長された。しかし、その後ワシントンD.C.のハーシュホーン美術館で開催された草間の個展「Infinity Mirrors」に同作が貸し出された際には、セルフィーを撮影しようとした観客にカボチャが踏み潰されるという災難に見舞われた。同様のボチャの彫刻が2015年のオークションで80万ドル(現在の為替で約1億2000万円)近くで落札されていたが、ハーシュホーン美術館は「インフィニティ・ルーム内の個々のカボチャは、それ自体に本質的な価値はなく、費用もごくわずか」であり、草間と協議の上ではあるが、無限の再構成が可能だと語った。
現在95歳の草間彌生の人気は、とどまるところを知らない。イギリスの大手保険会社ヒスコックスが今年4月発表したオークションでのアート販売のレポートによると、2023年は草間彌生が8090万ドル(現在の為替で約120億円)を売り上げ、2022年に1位だったデイヴィッド・ホックニーを抑えてトップの座に輝いた。
アートマーケットだけではなく、美術館も同様に草間彌生作品を積極的に収蔵・展示している。サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)は2023年10月から2024年5月まで草間の個展「Yayoi Kusama: Infinite Love」を開催し、17万人を動員する大成功を収めた。その翌月に、展示作品の1つだった「インフィニティ・ルーム」シリーズの《Dreaming of Earth’s Sphericity, I Would Offer My Love》(2023)の収蔵を発表。同館で2025年1月まで展示している。(翻訳:編集部)
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