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2024年「高松宮殿下記念世界文化賞」受賞者はソフィ・カル! 建築家の坂茂など5人に決定

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の 第 35回受賞者が、9月10日発表された。絵画部門にソフィ・カル、建築部門には坂茂が選ばれた。

高松宮殿下記念世界文化賞の絵画部門に選ばれたソフィ・カル。パリのアトリエにて。2024年5月撮影。Photo: Shun Kambe © The Japan Art Association

高松宮殿下記念世界文化賞は、公益財団法人 日本美術協会が1988年に設立。絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与してきた。過去にはシンディ・シャーマン(2016年)、横尾忠則(2015年)、草間彌生(2006年)、ゲルハルト・リヒター(1997年)デイヴィッド・ホックニー(1989年)など名だたるアーティストが受賞している。

ソフィ・カル《眺めのいい部屋》2003年 ギャラリー小柳での展示風景。Sophie Calle, Chambre avec vue, 2003, Installation view at Gallery Koyanagi, 2003 © Sophie Calle / Courtesy of Gallery Koyanagi

 第35回となる2024年は、絵画部門にソフィ・カル 、彫刻部門にドリス・サルセド、建築部門に坂茂ら5人が選ばれた。1953年フランス・パリ生まれのソフィ・カルは、見知らぬ人々を自宅に招き、自身のベッドで眠る姿を撮影、インタビューを加えて作品にするなど、写真と言葉による作品で知られている。日本では、三菱一号館美術館で11月23日から開催される展覧会「再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」を控えている。

ドリス・サルセド《ノビエンブレ6&7(11月6日と7日)》2002年 ボゴタの最高裁判所の壁 Noviembre 6 y 7, 2002 280 wooden chairs and rope,  Ephemeral public project, Palace of Justice, Bogotá,   November 6–7, 2002 Photo: Oscar Monsalve Courtesy of Doris Salcedo Studio

コロンビアを拠点に活動するドリス・サルセドは、椅子やテーブルなどの日常的な素材を用いて、政治的暴力から生じる喪失、悲哀 、記憶 、痛みなどの感情を表現している。2007年には、ロンドンにあるTATEモダンのタービンホールに全長167メートルにもおよぶ作品を展示した。

坂茂『下瀬美術館』2023年 Simose Art Museum, 2023 Photo: Hiroyuki Hirai Courtesy of Shigeru Ban Architects

唯一の日本人受賞者となった坂茂は、アメリカで建築を学び、2014年にプリツカー賞を受賞。過去にはポンピドー・センター・メスや、大分県立美術館、成蹊大学情報図書館などを手掛けており、東日本大震災の際には宮城県女川町に海上輸送用のコンテナを使った3階建の仮設住宅を提案した。

同賞の若手芸術家奨励制度の対象団体には コムニタス・サリハラ芸術センターが選ばれた。

受賞者には感謝状、メダル、賞金1500万円が贈られる。授賞式典は、11月19日にオークラ東京で行われる。

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