「一世代に一度」の考古学プロジェクトで、国家的に重要な王侯級エリートの墳丘墓が出土
- TEXT BY ANDY BATTAGLIA
サフォーク州でイギリス最大級とされる発掘プロジェクトが進むなか、11基の墳丘墓が発見された。中でも、アングロ・サクソン時代の戦士貴族や王族に連なるとみられる2人の高位の人物が埋葬された1基は、初期中世イングランドの権力構造を読み解く重要な手がかりとして、「国家的に重要」な発見と評価されている。
イギリス・サフォーク州で、オックスフォード・コッツウォルド考古学(OCA)が主導する発掘調査プロジェクト「サイズウェルC計画」によって、11基の墳丘墓が発見された。
GBニュースの報道によると、サイズウェルC計画は原子力発電所建設に先立って実施されている調査で、「一世代に一度の、最大かつ最も複雑な考古学プロジェクト」とも評されている。これまで200人を超える考古学者が参加し、70カ所以上、総面積およそ200万平方メートルに及ぶ発掘現場で、武器、宝飾品、容器類、そして300枚以上の銀貨を含む埋蔵品が確認されてきた。
今回発見された墳丘墓のうちの1基には、武器などの副葬品に加え、馬具を装着した馬とともに2人の人物が埋葬されていた。年代は、有名なサットン・フーの船葬と同じアングロ・サクソン時代、6世紀から7世紀にさかのぼると考えられている。
OCAで現地調査を率いるプロジェクト担当官のレン・ミドルトンはこの墳丘墓について、馬を伴う埋葬は同時代において極めて稀であり、戦士貴族や王族など、最も高い社会的地位にある人々にのみ許されたものであったとGBニュースの取材に語った。また、サットン・フーのほか、スネイプやプリトルウェルといった遺跡でも、同様のエリート層による埋葬が確認されていると説明している。
現地は酸性で砂質の土壌であるため人骨は保存されていなかったが、考古学者たちは、遺体や副葬品、さらには馬の輪郭を驚くほど鮮明にとどめた「砂のシルエット」を発見した。これらの痕跡によって、埋葬姿勢や副葬品の配置、当時の儀礼のあり方を高い精度で復元することが可能になったという。
今回の発見についてミドルトンは、「初期中世イングランドにおける権力、信仰、アイデンティティへの理解を深め、それらの概念がイングランド東部の東アングリア沿岸部でどのように表現されていたのかを明らかにする、国家的にも重要な成果です」と評価している。
サイズウェルC計画ではそのほかにも、ネアンデルタール人の石斧、紀元前4000年の矢じり、鉄器時代のオーク材のはしご、第2次世界大戦前後の未開封のビール瓶など、年代・種類ともに多岐にわたる遺物が見つかっており、注目を集めている。
プロジェクトの成果は、地元のヨックスフォード・ビレッジ・ホールで2月21日と22日に一般公開される予定だ。サフォーク州議会の考古学担当副キャビネットメンバーであるデビー・リチャーズは、「サフォーク州は驚くべき過去を次々と明らかにし続けており、これらの発見の規模は過小評価すべきではありません」と語っている。全ての遺物は、今後の研究および博物館展示のため、州議会のアーカイブに収蔵される予定だ。(翻訳:編集部)
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