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  • 2023.02.03

今週末に見たいアートイベントTOP5: ポーラ美術館「部屋のみる夢」、エスパス ルイ・ヴィトン東京「ヴォルフガング・ティルマンス展」ほか

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

草間彌生 《ベッド、水玉強迫》(2002 ) ポーラ美術館蔵 © YAYOI KUSAMA

1. 第16回 shiseido art egg 岡ともみ展「サカサゴト」(資生堂ギャラリー)

第16回shiseido art egg 岡ともみ「サカサゴト」展示風景 2023年 Photo: 加藤健

新進アーティストが向き合った「死」と「葬送」

新進アーティスト支援のため、2006年から行う公募プログラム「shiseido art egg」。今回は260件の応募があり、岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬の3名が入選。入選者は順に個展を開催する。その第1回目は岡ともみ。

1992年東京都生まれ、現在は東京藝術大学大学院美術研究科 博士課程に在学中の岡は、個人の思い出やかつての風習など、小さな物語や記憶をモチーフに作品をつくり続けている。本展は自身の祖父の葬儀での経験から、死者が出た際、普段の生活を逆の方法で行う「サカサゴト」という風習に着目。逆回転する古時計、雨音が聞こえる黒電話などで構成されたインスタレーションを通して、葬送の形や死との向き合い方について再考する。

第16回 shiseido art egg 岡ともみ展「サカサゴト」
会期:1月24日(火)~2月26日(日)
会場:資生堂ギャラリー(東京都中央区銀座8-8-3-B1F)
時間:11:00 ~ 19:00(日祝は~18:00) 


2. フィリップ・コルバート個展「Lobsteropolis(ロブスターポリス)」(M5 Gallery)

PHILIP COLBERT Dialogue Painting from The Lobster Land Museum 《Red Lobster Banana》(2022)Oil on canvas,150 × 200 × 4.5 cm Photo: Courtesy of the artist and Pearl Lam Galleries

ハイパーポップなマルチ・アーティストが描き出す、大衆文化と美術史の対話

香港や上海を拠点とし、アートバーゼル香港、ART SGなどの国際アートフェアに参加するギャラリー、パール・ラム・ギャラリーの日本初の展覧会は、ロンドンを拠点に活動するハイパーポップなマルチ・アーティスト、フィリップ・コルバートを紹介する。

「ロブスター」をモチーフにしたポップな作品で知られているコルバートは、リチャード・ハミルトン、ロイ・リキテンスタインなどのポップアート作家のほか、ピーター・ポール・ルーベンスなどのオールド・マスターにも影響を受けており、作品を通して、現代の大衆文化と美術史の文脈との対話を確立させているという。会場は一面「ロブスター」で埋め尽くされており、コルバートの作品世界に浸ることができる。

フィリップ・コルバート個展「Lobsteropolis(ロブスターポリス)」
会期:1月24日(火)~2月25日(土)
会場:M5 Gallery(東京都千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビル1F)
時間:12:00 ~ 19:00 


3. 部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで(ポーラ美術館)

草間彌生《ベッド、水玉強迫》(2002) ポーラ美術館蔵 © YAYOI KUSAMA

草間彌生とティルマンスの新収蔵作品も初公開! 9組の作家による「部屋」の表現。

「部屋」がテーマの展覧会。19世紀から現代までの作家の作品約50点を通じて、部屋という小さな空間で繰り広げられる、親密な記憶や夢想のありようを、改めて見つめ直す。

本展の見どころは、初公開となる新収蔵作品、草間彌生のベッドをモチーフにした《ベッド、水玉強迫》と、ヴォルフガング・ティルマンスの写真10点。身近な物や風景を素材にし、サイズや時間の概念を揺るがす髙田安規子・政子姉妹の緻密なインスタレーションや、佐藤翠守山友一朗による、閉じられた部屋と開かれた自然との関係を再考する新作が展示される。そのほか出品作家はベルト・モリゾヴィルヘルム・ハマスホイピエール・ボナールエドゥアール・ヴュイヤールアンリ・マティス

部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで
会期:1月28日(土)~7月2日(日)
会場:ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原 小塚山1285)
時間:9:00 ~ 17:00(入場は30分前まで) 


4. ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展(エスパス ルイ・ヴィトン東京)

ヴォルフガング・ティルマンス《Flatsedge》(2019) © Wolfgang Tillmans. Courtesy of the Fondation Louis Vuitton

ティルマンスが撮った、日常の断片と身体の脆弱性

1980年代のポストパンク世代の若者や、音楽における様々なカウンターカルチャー、ゲイコミュニティの目撃者となり、日常の断片と身体の脆弱性を写し出してきた写真家。昨年はニューヨーク近代美術館で大規模な回顧展が開催され、額を使わず、緻密に組み立てられたインスタレーションが話題となった。

本展では、自身のスタジオの花を被写体にし、写真と官能的な感覚の結びつきを表現した《Zimmerlinde (Michel)》(2006)や、ベッドに横たわって鏡にカメラを構え、何気ない瞬間を捉えたように見えるものの、実際には非常に複雑なコンポジションとなっている《London Olympics》(2012)など、30点を超えるティルマンス作品を所蔵するフォンダシオン ルイ・ヴィトンコレクションから厳選して展示する。

ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of Life」展
会期:2月2日(木)~6月11日(日)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道店7F)
時間:11:00 ~ 19:00


5. うららか絵画祭(The 5th Floor ほか台東区内)

神農理恵 《dog(big)》(2021)鉄、油性塗料、アクリル Photo: 髙木 遊

若手キュレーター、アーティストが表現者としての主体性を見つめ直す芸術祭

東京藝術大学や、国立西洋美術館をはじめとする美術館・博物館エリアに隣接する谷根千を舞台に、若手のキュレーターやアーティストが中心となって開催する芸術祭。現存のアートシーンの「価値基準」から離れて、表現者としての主体性を見つめ直す試みでもある。

初の開催となる今回は、小林正人加藤泉のほか、若手作家を中心とした18名が出展。ギャラリーやカフェ、寺院など全 9カ所それぞれにキュレーターを配属し、各々の個性が生きた展覧会を開催する。参加キュレーター、作家は以下の通り。(キュレーター)飯盛希、伊藤結希、 HB.、髙木遊、ときめき絵画道、布施琳太郎、三宅敦大(作家)石毛健太、小倉孝俊、加藤泉、金玄錫、小林正人、城田圭介、神農理恵、髙木彩圭、多田恋一朗、谷口洸、都築拓磨、中根唯、那須佐和子、西原彩香、平田守、堀田ゆうか、本山ゆかり、山田悠太朗 (五十音順)

うららか絵画祭
会期:2月4日(土)~2月19日(日)
会場:The 5th Floor(東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ 5F) ほか台東区内9カ所
時間:10:00 ~ 18:00
※会期・時間は一部会場により異なる場合あり

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