「今日の彫刻界をリードする存在」──キャロル・ボヴェがガゴシアンに移籍
ニューヨークを拠点に活動し、金属を丁寧に加工して折り曲げ、色彩を加えた作品で知られる彫刻家、キャロル・ボヴェが、ガゴシアン・ギャラリーに所属すると発表された。
ボヴェは、2011年にマッカローネ・ギャラリーと共同代理店契約を結んだが、その後2015年にデイヴィッド・ツヴィルナーに移り、現在に至る。
ラリー・ガゴシアンは発表の中で、「キャロル・ボヴェは今日の彫刻界をリードする存在です。私は長年彼女の作品を追いかけており、2017年のヴェネチア・ビエンナーレのスイス館でのインスタレーションに衝撃を受けました。続いて2021年のニューヨーク・メトロポリタン美術館のファサードでの展示は、彫刻の枠組みとしての建築に対する彼女の鋭い感覚が明らかになり、さらに感銘を受けました。キャロルは素材と色彩の使い方にイリュージョン的能力を発揮します。彼女とパートナーシップを組み、より野心的なプロジェクトを一緒に追求できることは、特権であり、名誉なことです」と話している。
ボヴェのガゴシアンでの初個展は、マンハッタンにある同ギャラリーで11月に行われる。ギャラリーから近い場所にあるホイットニー美術館では、10月4日から、ボヴェが共同キュレーションとデザインを手がける展覧会「The Art of Harry Smith」が開催される。ガゴシアンはまた、10月のアート・バーゼル「Paris+」で、ボヴェの新作彫刻を特集することを発表。「彼女の作品を、ガゴシアンの幅広い歴史的文脈に組み込む展示にする」という。
ジュネーブで生まれ、カリフォルニア州バークレーで育ったキャロル・ボヴェは、1993年からニューヨークを拠点に活動している。 捨てられたものや自ら作った素材を使った作品は、難解なカウンターカルチャーの本を並べた本棚のインスタレーションから、それ自体が彫刻の役割を果たす柱や台座まで、さまざまなものがある。彼女の最近の鉄を素材とした彫刻は、ダイナミックなスケールと独特のフォルムが特徴的で、知覚をねじ曲げ、ダイナミズムと静寂の間の緊張と戯れるような方法で形作られている。
2012年のドクメンタでは、18世紀に作られた神話の神々の彫像からインスピレーションを得た4つの彫刻を野外に展示し、2013年にはニューヨークのハイラインで、当時未開発だった公園の一角に、象形文字のような形の彫刻を設置した。 2021年、ボヴェはニューヨークのメトロポリタン美術館のファサードに、反射するアルミニウムの円盤で飾られた、歪んだスチールチューブのシリーズ「séances aren’t helping」を設置したほか、テキサス州ダラスのナッシャー彫刻センターで個展「Carol Bove: Collage Sculptures」を開催している。(翻訳:編集部)
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