「態度が異なる者は誰でも潰そうとしている」──アイ・ウェイウェイが西側諸国の検閲を批判
アイ・ウェイウェイは、2月4日にイギリスのテレビ番組に出演。イスラエル・ハマス紛争にまつわる現在の西側諸国の検閲が、毛沢東政権下の中国で経験した政治的抑圧と比べて「時にはさらにひどい」と言及した。
2月4日、イギリスのニュース専門局スカイニュースの番組にアイ・ウェイウェイが出演し、司会のトレバー・フィリップスと対談。アイは欧米でのイスラエル・ハマス紛争にまつわる状況について、「多くの人々が基本的な意見を述べただけで、解雇され、検閲を受けるのを目の当たりにしている。これがごく普通のことになっている」と批判した。
そして、この紛争に関連する発言をして停職処分を受けたニューヨーク大学の2人の教授のケースを例に挙げ、「これは毛沢東政権下の中国で起こった文化大革命のようなもので、異なる態度をとる者は誰でも、明確な意見さえも持たない者は誰でも潰そうとしている」と指摘。「欧米で、大学、メディアなどあらゆる場所で、これほど広範囲にこのようなことが起こったのは、とても残念なことだと思う」と述べた。
番組では、2023年に起こったアイの個展の開催中止についても触れた。
昨年アイは、Xで「ユダヤ人迫害をめぐる罪の意識は、時にアラブ世界への対応で埋め合わされてきた。ユダヤ人コミュニティは、金融面でも、文化面でも、メディアへの影響力という点でも、アメリカで大きな存在感を示し続けており、イスラエルへの年間30億ドル(約4500億円)の援助パッケージは、アメリカがこれまでに行った投資の中で最も価値のあるものの1つだと何十年も喧伝されている。このパートナーシップはしばしば 『運命共同体』と表現される」と呟いた。その後リッソン・ギャラリーは、アイとの合意の上で11月15日に開催予定だった個展を延期したと発表したが、彼は自身の声明で「事実上キャンセルされた」と主張した。
アイはこの件に関して、「基本的に私はXに投稿し、誰かの質問に答える自由がある」と語った。
また、アイは司会のフィリップスに「欧米の芸術家たちは表現の自由を守るために努力しているのか」と尋ねられ、「そうではない。彼らはただお金を求め、有名になりたいだけだ」と答えた。
実際、10月7日に起こったハマスのイスラエル攻撃以来、この問題を公に論じている著名アーティストは少ない。その中でも写真家のナン・ゴールディンは、パレスチナへの支持を表明したという理由で美術界の重要な人物が解雇され、アーティストの展覧会が中止され、コレクターが作品の購入を取りやめるという状況を「冷え切った時代」と表現し、批判した。(翻訳:編集部)
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