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バスキアの初期作品3作がオークションへ。予想落札価格は約91億円!

ジャン=ミシェル・バスキアが1982年に制作した《Untitled (ELMAR)》をはじめとする初期作品3点が、ニューヨーク香港で開催される

フィリップスの20世紀美術と現代アートのイブニング・セールに出品される。

ジャン=ミシェル・バスキア《Untitled (ELMAR)》(1982)。Photo: Jean Bourbon/Courtesy Phillips

フィリップスニューヨーク香港で開催する、20世紀美術・現代アートのイブニング・セールにジャン=ミシェル・バスキアの絵画3点が出品される。1981〜1982年にかけて制作されたこの作品は、人類学者のフランチェスコ・ペリッツィによってコレクションされており、80年代初頭にバスキアの最初のディーラーを務めたアニーナ・ノセイから購入されたもの。

5月14日に開催されるニューヨークのイブニング・セールに登場するのは、1982年に制作された大型作品《Untitled (ELAMR)》。今にも天から落ちそうなイカロスと、彼に向かって放たれた2本の矢が、幅およそ2.4メートルのキャンバスに描かれており、フィリップスは、予想落札価格を4000〜6000万ドル(約60億6200万〜91億円)に設定している。

《Untitled (ELMAR)》は、1989年にニューヨークのホフストラ大学美術館で開催されたペリッツィのコレクション展に出品された作品。また、ロサンゼルスのガゴシアン・ギャラリーで1998年に開催されたバスキアの没後10年を記念する企画展でも展示され、展覧会カタログの表紙を飾った。ほかにも、フォンダシオン ルイ・ヴィトンで2018年に開催されたバスキアの回顧展にも出品されている。

フィリップス・ニューヨークでは《Untitled (ELMAR)》に加えて、《Untitled (Portrait of a Famous Ballplayer)》(1981)が出品される予定で、予想落札額は650万〜850万ドル(約9億8500万〜13億円)となっている。また、5月31日に開催されるフィリップス香港では、《Native Carrying Some Guns, Bibles, Amorites on Safari》(1982)が出品され、1200〜1800万ドル(約18億2000万〜27億3000万円)の予想落札額が設定されている。

アジア圏においてバスキアの作品は特に人気で、2016年にはZOZO創業者の前澤友作がクリスティーズでバスキアが1982年に制作した《Untitled》を5730万ドル(当時の為替で62億4000万円)で落札。彼はその後、フィリップス主催のオークションに同作品を出品しており、8500万ドル(同・約110億円)で落札された

クリスティーズ・ニューヨークのイブニング・セールにおいてバスキアの作品は定番となっている。2023年5月に開催されたオークションでは、《El Gran Espectaculo (The Nile)》(1983)と題された幅およそ3.6メートルに及ぶ三部作が出品された。イタリアのファッションデザイナー、ヴァレンティノ・ガラヴァーニがコレクションしていたこの作品は、6700万ドル(当時の為替で約92億2400万円)で落札され、オークションに出品されたバスキアの作品のなかで最高額を記録している。

フィリップスの副会長で、20世紀美術・現代アートの全地域担当共同責任者を務めるロバート・マンリーは、ロサンゼルスのガゴシアン・ギャラリーで開催されているバスキアの展示について言及しながら、次のような声明を発表している。

「バスキアの作品に対して世間から向けられる注目と、名声は年々高まるばかりで、今世紀最も注目されているアーティストだと言えるでしょう。バスキアの勢いはこれからも増していくに違いありません」(翻訳:編集部)

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