活動家としても注目されるアーティスト、ナン・ゴールディンによるグッチの最新キャンペーンが公開
写真家兼活動家のナン・ゴールディンによるグッチの広告キャンペーン「We Will Always Have London」が新たに展開される。本キャンペーンは、ロンドンを舞台にブロンディのボーカリスト、デボラ・ハリーと、チェリストのケルシー・ルーが市内の名所を巡りながら、ブランドとロンドンのつながりを表現している。
グッチは「We Will Always Have London」と題した新たな広告キャンペーンを展開する。「グッチ ブロンディ」バッグと2025年クルーズ コレクションに焦点を当てたこの広告キャンペーンには、ブロンディのボーカリスト、デボラ・ハリーと、チェリストのケルシー・ルーが起用されており、ビジュアル撮影はナン・ゴールディンが手がけている。
ゴールディンは、性的マイノリティのヌードや性描写を含むコミュニティを率直に捉えた「ボストン派」に分類されるアーティスト。恋人や同性愛者の友人たちとの間で繰り広げられる性やドラッグ体験など、「拡大家族」と彼女が称する親密な仲間内の日常にレンズを向けた《性的依存のバラード》で世界的な注目を浴び、1981年にはスライドショーの形式で作品を発表した。
2017年にはアメリカ国内で麻薬性鎮痛薬オキシコンチン中毒の問題に取り組む団体「P.A.I.N(Prescription Addiction Intervention Now)」を立ち上げ、抗議活動のほか、被害者の支援を行っている。こうしたゴールディンの活動を収めたドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』は、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した。また、2023年10月以降は、ガザ地区における虐殺や偏向報道を行うメディアに対する抗議活動も実施しており、停戦を求める公開書簡にも署名している。
さて、GUCCIの2025年クルーズ コレクションは2024年5月13日、テート・モダンで開催された。同館のあるロンドンは、創業者のグッチオ・グッチや現クリエイティブディレクターのサバト・デ・サルノに影響を与えた街だ。本キャンペーンは、ブランドの創造性の原動力の一つであり、音楽やアート、文化の「ミューズ」と言えるロンドンという都市との永遠のつながりを称えている。
この最新キャンペーンでフィーチャーされている「グッチ ブロンディ」バッグは、ブランドがこれまで歩んできた歴史を現代に合わせて再解釈したアイテムであり、単なるアクセサリーではなくキャンペーンの主役と言える。このバッグを特徴付ける円形のエンブレムは、レザーやエナメルといった新たなテクスチャーをまとい、1970年代初頭に発表された当時のブランド精神を反映しているのだ。
ゴールディンはこのキャンペーンで、ロンドンを象徴するタクシーや、夜のロンドンの雰囲気を捉えた映像やスチル画像を通じて、ランウェイにとどまることのないファッションの生き生きとした魅力を紡ぎだし、デ・サルノが思い描く自由奔放なエネルギーを体現したという。ロンドンの名所を巡るデボラ・ハリーやケルシー・ルーを追った映画さながらのシーンの中に、時空を超えた都市の影響力とブランドが醸し出す現代的なエッジを融合させている。