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【訃報】伝説的ディーラー、ハンス・メイヤーが死去。ウォーホルやリキテンシュタイン、ホッパーら戦後アメリカの現代美術をヨーロッパに紹介

構成主義、オプアート、ポップアートを支持し、戦後アメリカのアーティストをヨーロッパに紹介したことで知られるドイツのアートディーラー、ハンス・メイヤーが12月31日、82歳で死去した。同氏のギャラリーがinstagramで発表した。

2018年に撮影されたハンス・メイヤー。Photo: ©Ralph Gortz

1940年にドイツのウルムで生まれたハンス・メイヤーは、25歳の時、エスリンゲンに自身の名を冠したギャラリーをオープン。1965年には、ジョン・ケージの音楽に合わせたヨゼフ・アルバースの展覧会を開催した。1967年に開催された世界初のアートフェア、アートケルンの前身であるクンストマート・ケルンの創設にも携わっている。 

1969年、メイヤーはギャラリーをデュッセルドルフに移し、ヨーロッパの他のギャラリーに先駆けてアンディ・ウォーホルの個展を開催した。その後1979年には、ウォーホルとヨーゼフ・ボイスを引き合わせている。 

1960年代には、オプアート(*1) 、構成主義(*2) 、キネティックアート(*3) の展示で一躍脚光を浴びた。70年代と80年代には、ロバート・ラウシェンバーグロイ・リキテンシュタインフランク・ステラ、エルズワース・ケリー、トム・ウェッセルマン、ソル・ルウィットといった美術界の大物に加え、デニス・ホッパーカール・ラガーフェルドジョン・レノンといった文化的アイコンが企画展に参加することもあった。 


*1  optical artの略称。知覚心理学的なメカニズムから、錯視効果を与えるよう計算された絵画のこと。
*2 1910年代にモスクワを中心に始まった前衛的な芸術運動。鉄板や木片など、工業的材料による構築的作品を特徴とする。 
*3 機械じかけで動く芸術作品の総称。 

1990年にはビデオアーティストのナム・ジュン・パイクが所属し、その後キース・ヘリングジャン・ミッシェル・バスキア、ケニー・シャーフ、ロバート・ロンゴ、トニー・オウスラーなど当時若手だった有名アーティストがギャラリーに名を連ねている。 

メイヤーは一貫して現代美術に力を入れてきた。中でも、大規模な野外彫刻やインスタレーションを得意としており、2008年、40年にわたる功績が評価されてヨーロッパ・ギャラリー賞を受賞している。 

メイヤーのギャラリーに所属するロバート・ロンゴをはじめ、ネット上ではメイヤーの死を悼む声が上がっている。(翻訳:編集部) 

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