今週末に見たいアートイベントTOP5: 54組のアーティストを8科目で紹介「ワールド・クラスルーム」展、憲法を読み、芸術表現を考える「日本国憲法展」
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. アルベルト・ジャコメッティ「Selected Work from the Collection」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)
世界的コレクションから、ジャコメッティを象徴する7点を一堂に展示
フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵する作品を世界6カ所で展示する国際的なプロジェクト「Hors-les-murs(壁を越えて)」の一環として、スイスに生まれ、パリを拠点に活躍した彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ(1901-66)を特集する。ジャコメッティは、シュルレアリズムの作風でいち早く名声を獲得し、アンドレ・ブルトンやジョルジュ・バタイユら時代の寵児と親交を築いた。しかし1935年以降社交界から遠ざかり、実在のモデルのみと向き合いはじめる。そして1950 年代に入ると、彫刻作品の身体が次第に細くなり、最終的に、不安定な存在の輪郭はこれ以上不可能な域まで削ぎ落とされ、現在知られているジャコメッティのスタイルが確立された。
本展では、ジャコメッティを象徴する7点の彫刻作品、《棒に支えられた頭部》(1947)、《3人の歩く男たち》(1948)、《ヴェネツィアの女 III》(1956)、《大きな女性立像 II》 (1960)、《男の頭部》、「ロタール I~ III」(1964-1965)を展示する。
アルベルト・ジャコメッティ「Selected Work from the Collection」
会期:2月23日(木)~6月25日(日)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪(大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F)
時間:12:00 ~ 20:00
2. センス・オブ・ワンダー 感覚で味わう美術(静岡県立美術館)
草間彌生の大規模インスタレーションを9年ぶりに公開
どうしても視覚に頼りがちな美術鑑賞に、五感でアプローチすることを提案する展覧会。作品のレプリカや素材に触れるほか、楽器の演奏者や四季折々の自然、味覚にまつわるモチーフを描いた絵画から、音や匂いや味の記憶を呼び起こしながら作品を楽しむ。17世紀のクロード・ロランやジャック・カロから、クロード・ジョゼフ・ヴェルネ、海老原喜之助、白髪一雄、そして現在活躍中の名和晃平、李禹煥まで、館蔵の約90点で構成する(一部展示替えあり)。
展示を象徴するのは、9年ぶりに公開する草間彌生の《水上の蛍》。四角い建物の扉を開けて水を巡らせた通路を進むと、頭上に吊り下げられたいくつもの電飾の光が、壁や天井の鏡面と、足元で揺れる水面に映り込む。その無数の光は、虚構の空間の中で無限に増殖していくようにも感じられる。作品を鑑賞できるのは一度にひとりだけ。空間に没入し、からだ全体で作品を鑑賞する贅沢な体験ができる。
センス・オブ・ワンダー 感覚で味わう美術
会期:4月18日(火)~7月9日(日)
会場:静岡県立美術館(静岡県静岡市駿河区谷田53-2)
時間:10:00 ~ 17:30(入場は30分前まで)
3. 森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会(森美術館)
現代アートの多様な視点に出会い、学ぶ「世界の教室」
1990年代以降、世界に広がり多様化した現代アートを、美術や図画工作といった枠組みから解き放ち、「国語」、「社会」、「哲学」、「算数」、「理科」、「音楽」、「体育」、「総合」の8つの科目別のセクションで紹介する。現代アーティストが、人々が抱く固定観念をクリエイティブによって越えていこうとする姿勢もまた、学問上の「わからない」の探求に繋がる。そして、現代美術館はまさにそうした未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」とも言えるだろう。
企画展としては初めて、出展作品約150点の半数以上を森美術館のコレクションが占める一方、本展のための新作も披露され、54組のアーティストによる学びの場、「世界の教室」が創出される。主な出品作家は、アイ・ウェイウェイ、ヨーゼフ・ボイス、畠山直哉、李禹煥、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、笹本晃、杉本博司、田島美加、高山明、梅津庸一、米田知子。
森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会
会期:4月19日(水)~9月24日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F)
時間:10:00 ~ 22:00(火曜は17:00まで)
4. 日本国憲法展(無人島プロダクション)
5月3日の憲法記念日に改めて考えたい、この国の憲法と表現
戦後日本を代表する芸術作品と共に、日本国憲法の条文を紹介した、2019年の書籍『日本国憲法』( 松本弦人編、TAC出版) から着想を得た展覧会。今回新たに選出した作品28点を、それぞれ条文と組み合わせて展示する。日本における生活の根幹であり、表現とも地続きにある日本国憲法を通して、今日の社会情勢、美術の動向、そして人々の暮らしについて考えるきっかけにしてもらいたい。
出品作家は、大西伸明、釘宮由衣、本山ゆかり、木村俊幸、東山詩織、池添彰、森栄喜、 悪魔のしるし、森田浩彰、長田奈緒、赤塚不二夫、髙田安規子・政子、平山昌尚、棰石憲蔵。同展は、Part 2を青山|目黒(5月20日~6月11日)、Part 3をジュンク堂書店 池袋本店 5階(4月28日~5月31日)で開催する。
日本国憲法展
会期:4月22日(土)~6月11日(日)
会場:無人島プロダクション(東京都墨田区江東橋5-10-5)
時間:13:00 ~ 19:00(土日は18:00まで)
5. マティス展(東京都美術館)
約20年ぶりの大回顧展。約150点で初期から晩年までの実験的な創作を辿る
純粋な色彩による絵画様式であるフォーヴィスム(野獣派)を生みだし、モダン・アートの誕生に大きな役割を果たした、20世紀の巨匠アンリ・マティス(1869-1954)。日本では約20年ぶりの大規模な回顧展となる本展は、世界最大規模のマティス・コレクションを所蔵するポンピドゥー・センターの全面的な協力を得て開催される。
初期から晩年までの年代ごとに8章に分け、日本初公開となる初期の傑作《豪奢、静寂、逸楽》をはじめとする絵画、彫刻、ドローイング、版画、切り紙絵など約150点で、実験的なマティスの創作を辿る。また、晩年最大のプロジェクトであり、自身がその生涯の創作の集大成とみなした南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する資料も展示する。
マティス展
会期:4月27日(木)~8月20日(日)
会場:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
時間:9:30 ~ 17:30(金曜は20時まで、入館は30分前まで)