ドクメンタ15とはなんだったのか? 反ユダヤ主義を巡る論争を振り返る【2022年のアートニュースまとめ】
2022年6月18日~9月25日にドイツ・カッセルで開催された、5年に1度の芸術祭ドクメンタ。これまでARTnewsJAPANが伝えたドクメンタ15関連のニュースを紹介します。
国際美術展「ドクメンタ」が反ユダヤ主義やボイコットへの関与を否定
パレスチナのハリル・サカキニ文化センター(ラマラ)。ドクメンタ15の芸術監督チームに参加している同センターは、BDS運動に関与しているとの批判を受けた。Photo: Courtesy Khalil Sakakini Cultural Center
開幕まで数カ月となった国際美術展、ドクメンタ15が、イスラエル企業・製品のボイコットを求めるBDS運動(「ボイコット、投資の引き揚げ、制裁」運動)に関与しているとの非難を受けた。
ドクメンタ15の芸術監督が反ユダヤ主義疑惑を否定。ドイツで起きた大論争
2022年のドクメンタの芸術監督に選ばれたインドネシアのアート・コレクティブ、ルアンルパのメンバーたち。Photo: Jin Panji/Courtesy the artists
ドイツのカッセルで5年ごとに開催される国際的な現代アート展、ドクメンタ。今年6月に開催されたドクメンタ15の芸術監督を務めたインドネシアのアート・コレクティブ、ルアンルパが、ドイツ全土で起きている反ユダヤ主義疑惑について反論した。
ドクメンタ15が反ユダヤ問題で異例の措置。批判を受けた展示作品を覆い隠す
2022年のドクメンタ15に展示されたタリンパディの作品。Photo: Boris Roessler/picture-alliance/dpa/AP Images
ドイツのカッセルで5年に1度開催される世界的な美術展、ドクメンタ。その15回目となるドクメンタ15が2022年6月18日に始まった。これまでも民族主義をめぐる論争や事件が起きていたが、オープニング直後には、反ユダヤ的と批判された作品を覆い隠すという異例の措置が取られた。
改めて知りたいドクメンタ。第1回目はいつ? 見に行く価値はあるの? 13の素朴な疑問に答えます
ドクメンタ13(2012)で入場を待つ人の長い列。Photo: Uwe Zucchi/picture-alliance/dpa/AP Images
ドクメンタとは一体何なのか? なぜアート界はこれほどまでにこのイベントに注目するのか? アーティストやキュレーター、ディーラー、評論家などのアート関係者に大きな影響力を持つと言われるドクメンタが巻き起こしてきた論争や、それにまつわる出来事を紹介する。
ドクメンタ総監督が退任、反ユダヤ主義論争とドイツ政治的圧力に屈す
ドクメンタの総監督ザビーネ・ショルマン。Photo: Swen Pfortner/Picture-Alliance/DPA/AP Images
ドクメンタの反ユダヤ主義疑惑への対応について批判が拡大する中、総監督を務めるザビーネ・ショルマンが辞任した。
ドクメンタの反ユダヤ主義論争がブラジルに飛び火。ユダヤ系グループが参加取り消しの「噂」を否定
カーサ・ド・ポーヴ。Photo: Camila Picolo
ドクメンタ15は開幕前から反ユダヤ主義論争に揺れ続け、総監督の辞任という事態にまで発展した。そんな中、ドクメンタ15に出展するはずだったサンパウロのユダヤ系アートスペースが参加を取り消されたとドイツの有力紙が報じたことに対し、当のアートスペースが反論。記事に書かれたことは噂にすぎないと否定した。
ドクメンタ15にまたもや反ユダヤ主義疑惑。アルジェリア女性コレクティブの作品に撤去要請
ドクメンタ15より。Photo: Thomas Lohnes/Getty Images
ドクメンタ15に、またもや反ユダヤ主義疑惑が浮上。開幕直後に撤去された作品があったが、7月下旬、新たな作品撤去が政治家から要請された。参加アーティストの一部はこれに反発。検閲的思考であるとして、ドクメンタ15の首脳陣に謝罪を求めた。
ドクメンタ15のテーマ「アートより友だち」は実現したか。非ヨーロッパ的価値観との軋轢を生むドイツの事情
バン・ノーグ・コラボラティブ・アーツ・アンド・カルチャーのインスタレーション《The Ritual of Things(物の儀式)》(2022)。Photo: Nicolas Wefers
「アートより友だち」とは、今年のドクメンタが掲げたスローガンだ。型破り、実験的、コンセプチュアルといった言葉で語られることが多いこの芸術祭だが、今年は特にその傾向が顕著で、従来にない試みが満載だ。彼らが伝えたいこと、そしてそれを阻もうとするものとは?
反ユダヤ主義疑惑でドクメンタから作品が撤去されたタリンパディ、別作品の「ある部分」を黒テープで隠す
ドクメンタ15に展示されているタリンパディの作品。Photo: Uwe Zucchi/dpa/picture alliance via Getty Images
反ユダヤ主義をめぐる論争に揺れ続ける今年のドクメンタ15で、新たな問題が持ち上がった。6月の開幕直後に作品が撤去されたタリンパディが、別の作品の一部を隠したとして批判を受けた。
ドクメンタ15で日本とパレスチナの関係を描く過激派映画に上映中止要求。主催者は「検閲」と抗議
ドクメンタ15で展示されたタリンパディの作品。Photo: Uwe Zucchi/dpa/picture alliance via Getty Images
オープニング前から反ユダヤ主義をめぐる論争に揺れ続けたドクメンタ15。加えて、ある映画作品の上映中止問題も勃発した。