MoMAでの抗議活動で16人の環境活動家が逮捕
9月15日に環境活動家たちが行ったニューヨーク近代美術館でのデモで、16人が逮捕された。
9月15日、エクスティンクション・レベリオンやクライメート・オーガナイジング・ハブといった環境活動家グループのメンバーがMoMAの内外でデモを行った。美術館のロビーにあるAI技術を駆使した人気作品、レフィク・アナドルの《Unsupervised》(2022年)の前でダイ・インを行う者もいれば、同館のパフォーマンス・アートや動画作品に特化したスタジオ・スペースなどのプロジェクトに資金を提供している同館の理事長マリー=ジョゼとその夫ヘンリー・クラヴィスとの関係を断ち切るよう求める看板を掲げる者もいた。
クラヴィスは以前にも活動家の標的にされたことがある。彼のプライベート・エクイティ投資会社のKKRは、カナダで物議を醸しているコースタル・ガスリンク・パイプラインなどのプロジェクトに投資しており、同パイプラインの影響を受けているウェトスウェテン先住民族のメンバーも、同日の抗議に参加した。
活動家たちが掲げたプラカードには、現在MoMAで回顧展が開催されているエド・ルシェの作品を模したものもあり、スタンダード・オイル社のガソリンスタンドが炎上しているイメージを描いたルシェの有名な作品の上に、「MoMA DROP KRAVIS」という言葉が書かれていた。
MoMAの現理事長であり、1994年から評議員を務めているマリー=ジョゼは、ジェフリー・エプスタインとの関係をめぐり前任者レオン・ブラックが退任した後、2021年に理事長に選出された。夫ヘンリーは同美術館の評議員ではないが、夫妻はARTnewsのトップ200コレクターリストに定期的に名を連ねる著名なアートコレクターだ。
「私たちは、MoMAに説明責任を果たすよう要求するため、抗議を行っています」
そう声明で述べたのは、エクスティンクション・レベリオンの活動家であるローラ・エスター・ウォルフソン。彼女はまた、「彼らが犯した過ちを認め、KKRとのいかなる関係も断つことを求めます。マリー=ジョゼ・クラヴィスの理事会への参加は、世界で最も重要な文化施設のひとつであるMoMaにとって、忌まわしい汚点です」と続けた。
MoMAの広報担当者は、US版ARTnewsのコメント要請に応じなかったが、KKRの広報担当者はHyperallergicの取材に対し、同社は「持続可能なエネルギーに投資することにコミットしており、将来的にはクリーンエネルギーへの転換を支援する一方で、今日の世界における福祉、安全保障、経済成長に必要な従来型エネルギーを供給することの継続的な重要性も認識しています」と述べている。
今回の抗議行動は、これまでのアートアタックとはある重要な点で異なっている。最近行われた抗議行動のほとんどは、美術館が気候危機に与える影響に直接的に言及するものではなく、活動家が作品のフレームや台座に自身の手を接着したり、作品にペイントや食べ物を投げつけたりするものだったからだ。ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーで行われた抗議行動では、関係者が逮捕され、後に起訴された。
これまでのところ、アートアタックの標的となった作品は、什器や作品を覆うアクリル板などに軽微な損傷を与えただけで、おおむね無傷である。もちろん、こうした行動が美術品に致命的な傷を負わせる可能性を危惧する声もある。例えば、ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館は今月初め、アートアタックから展示作品を守るための措置として1日早く閉館している。
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