2024年に必見の世界のアートフェア14選。ART SGからアート・バーゼルまで【2024年上半期編】
東京現代やArt Collaboration Kyotoで海外ギャラリーの作品を国内で見る機会が増え、国外のアーティストやギャラリーに興味を持つようになったアートラバーも増えて来たのではないだろうか。2024年上半期に訪れるべき世界のアートフェアを紹介する。
今年の上半期のアートフェアは例年通りのラインナップとなったが、昨年フリーズに買収されて、今年の運営が注目されるエキスポ・シカゴや、コロナ禍などの影響により離れていたギャラリーが戻ってきたアート・バーゼル香港など、フェアの中にもさまざまなトピックスがある。それでは2024年上半期に世界で開催される14のアートフェアをご紹介しよう。
1. ART SG(シンガポール)
東京現代や台北当代、インディア・アート・フェア、シドニー・コンテンポラリーを主催するアート・アセンブリーにより運営されるART SGは2024年が第2回目の開催となる。国際的なギャラリーによるギャラリーズ・セクション、若手、中堅作家やキュレーションされた展示を展開するフォーカス・セクション、設立10年以内のギャラリーによるフューチャー・セクションの3つに分類される。
出展者リストにはガゴシアン、カジョン、リーマン・モーピンといった国際的なギャラリーがリストアップされ、日本からはカイカイキキ・ギャラリー、MAKI、コウサク・カネチカなども出展予定だ。盛り上がりが期待される今回のART SGではあるが、アート・バーゼル香港やフリーズ・ソウルと比較して収支面で期待に届かなかったという報道がある。事実、昨年は出展していたデヴィッド・ツヴィルナー、アルミン・レッシュ、ヴィクトリア・ミロといった有名ギャラリーや、韓国のギャラリー・ヒュンダイ、日本からはタカ・イシイ・ギャラリーなどが出展を見送っている。
日程:1月19日(金)~1月21日(日)(18日はプレビュー)
会場:マリーナ・ベイ・サンズ・エクスポ・コンベンション・センター
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2. FOG Design + Art(アメリカ)
国際的なアートギャラリーから一流デザインディーラーまで幅広い展示が見られるサンフランシスコのアートフェア、FOG Design + Art。デザインにも焦点を当てたフェアではあるが、カルマ、グラッドストーン・ギャラリー、マリアン・グッドマン・ギャラリーといった多数のブルーチップギャラリーが出展する。
今年は10周年を記念し、招待制のFOG FOCUSを展開。ここではカルト・エイミー・フライバーグやオチ、ジョナサン・カーバー・ムーアなどLGBTQ+やマイノリティの焦点を当てた新興ギャラリーがリストアップされた。また、1月13日から21日はサンフランシスコ・アート・ウィークとして地元のギャラリーや美術館がイベントを開催し、サンフランシスコ全体でアートシーンを盛り上げる試みもある。
日程:1月18日(木)~ 1月21日(日)
会場:フェート・メイソン・センター
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3. フリーズ・ロサンゼルス(アメリカ)
世界的アートフェアのフリーズ・ロサンゼルスは、去年に引き続きサンタモニカ空港で開催される。昨年は世界22か国から120以上のギャラリーが参加したが、2024年版はフロアプランが見直されたこともあり、95ギャラリーの参加となった。メインのギャラリー・セクションは83ギャラリーが、新進ギャラリーを紹介するフォーカス・セクションには12ギャラリーが出展予定。そのうち半数はロサンゼルスに拠点を構えており、初参加は13軒となった。日本からはタカ・イシイ・ギャラリーが参加予定。
日程:3月1日(金)~ 3月3日(日)(29日はプレビュー)
会場:サンタモニカ空港
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4. アート・ドバイ(UAE)
中東を代表するフェアであるアート・ドバイは高級リゾート地マディナ・ジュメイラで開催される。ブースは4つのセクションに分かれ、実力派から気鋭のギャラリーを紹介する「CONTEMPORARY」には、カザフスタンのアスパン・ギャラリーやインドのプロジェクト88などが出展。アラビア語で入口を意味する「BAWWABA」では過去1年以内、またはこのフェア用に作られた作品を展示し、「MODERN」では今日のグローバルサウスの文化的ダイナミクスをテーマにギャラリーをチョイス。ニューメディアやテクノロジー、メタバースなどの先端技術を用いた芸術を取り扱う「DIGITAL」セクションもある。中東やアジア、ラテンアメリカ地域のギャラリーやアーティストをセレクションする本フェアでは、欧米の有名アートフェアでは見ることができない新たな芸術に出会えるきっかけになるだろう。
日程:3月1日(金)~ 3月3日(日)(2月28、29日はプレビュー)
会場:マディナ・ジュメイラ・カンファレンス&イベントセンター
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5. TEFAFマーストリヒト(オランダ)
古代美術からオールドマスター絵画、近現代美術に至るまで7000年にわたる美術の歴史を一度に目にすることができるのがTEFAFだ。オランダのマーストリヒトとニューヨークで年2回開催されており、世界中から260以上の一流ディーラーが参加する。ペロタンやホワイト・キューブといったコンテンポラリーアートのブルーチップギャラリーのほか、ティラノサウルスの化石から古代エジプトの棺まで取り扱うロンドンのデビッド・アーロン・ギャラリーや、1992年からTEFAFに参加しフェアの成長を支えたバーゼルのギャラリー・カーンも見逃せない。日本からは思文閣とア・ライトハウス・カナタが出展予定。地元の花屋協力のもと作られる、恒例のエントランスのフラワー・インスタレーションにも注目してほしい。
日程:3月9日(土)~ 3月14日(木)(7、8日はプレビュー)
会場:マーストリヒト・エキシビション・カンファレンス・センター
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6. アート・バーゼル香港(香港)
2023年のバーゼル香港は171軒の参加だったが、2024年は242軒にまで増加した。これは、これまでしばらく出展を見送っていたリッソン・ギャラリー、クリマンズットなどの復帰や、25ギャラリーの初参加によるものだ。完全にコロナ禍前の調子に戻ったアート・バーゼル香港だが、サテライトフェアのアート・セントラル、2021年にオープンした美術館M+、香港島南部沿岸地域Wong Chuk Hangのギャラリーエリア、HKWALLSによるウォールアートなど、周辺のアート施設も負けず劣らずたくさんのアートイベントで楽しませてくれるだろう。
日程:3月28日(木)~ 3月30日(土)(26、27日はプレビュー)
会場:香港コンベンション&エキシビションセンター
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7. エキスポ・シカゴ(アメリカ)
イリノイ州シカゴで開催されるエキスポ・シカゴは2024年で11年目を迎える。ミシガン湖沿岸にあるネイビー・ピアで開催される同フェアは、地元をはじめ海外からもギャラリーが集まり、2023年版は170超が出展した。展示は、国際的なギャラリーが集まる「ギャラリーズ・セクション」、設立10年以下のギャラリーによる個展または二人展形式の「エクスポージャー・セクション」、インスタレーションやテーマ性のある展示を企画する「プロフィール・セクション」、出版物やエディションを紹介する「エディション+ブックス」の4セクション。ニューヨーク、マイアミビーチ、ロサンゼルスといった、アメリカのアートの中心地とはまた別のエリアで開催されるエキスポ・シカゴならではのギャラリーラインナップや作品リストが楽しめるだろう。また、フリーズによる買収が発表されたこともあり、今後の運営方針にも注目が集まる。
日程:4月11日(木)~ 4月14日(日)
会場:ネイビー・ピア・フェスティバル・ホール
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8. フリーズ・ニューヨーク(アメリカ)
ハドソンヤードのアート・センター、ザ・シェッドを会場とするフリーズ・ニューヨークは、例年60~70ギャラリーが出展する。毎年4大メガギャラリーのガゴシアン、ペース、デヴィッド・ツヴィルナー、ハウザー&ワースが名を連ね、世界各地のブルーチップギャラリーも集結する。2023年版のフリーズ・ニューヨークでは100万ドル(約1億4000万円)を超える作品や、それに次ぐ高額作品の売り上げが好調だったこともあり、これらの有名ギャラリーがどういったインベントリを用意してくるのか注目したい。
日程:5月1日(水)~ 5月5日(日)
会場:ザ・シェッド
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9. NADAニューヨーク(アメリカ)
現代美術のコミュニティ形成を目指す非営利団体NADA(New Art Dealers Alliance)によるこのフェアはフリーズ・ニューヨークと同時期に開催される。フリーズのように有名ギャラリーばかりが並ぶといったスタイルではないが、欧米を中心とした新興、中堅ギャラリーが良質な作家をプレゼンするフェアとなっている。この時期、フリーズ、NADA、Future Fairの3つのアートフェアに加えて、街中のギャラリーや美術館、アートスペースが展覧会やイベントを開催し、ニューヨークがアートで盛り上がる。
日程:5月2日(木)~ 5月5日(日)
会場:548 West
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10. インディペンデント・ニューヨーク(アメリカ)
コンテンポラリーアートにスポットを当てたインディペンデント・ニューヨークは2010年に設立され、現在ではカルト的な人気を誇る注目のアートフェアに成長した。フェアは招待制で、選ばれたギャラリーのみが参加出来る。そのため、ハイクオリティで卓越したキュレーションを鑑賞者に提供できるのが特徴だろう。2023年はステファン・フリードマン・ギャラリー(ロンドン)、ニル・ラットマン(ロンドン)、キングス・リープ(ニューヨーク)といった注目のギャラリーが初参加を果たした。2024年のラインナップはどうなるのか。1月に発表される出展者リストが待たれる。
日程:5月9日(木)~ 5月12日(日)
会場:スプリングスタジオ
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11. TEFAFニューヨーク(アメリカ)
3月にマーストリヒトで開催されるTEFAFのニューヨーク版はフリーズ・ニューヨークの翌週、5月10日から開催される。アンティークやオールドマスターを得意とするTEFAFならではのキュレーションがこのフェアの魅力だ。2023年のアクセル・ヴェルヴォールト・ギャラリーによるアニッシュ・カプーアの立体作品とカンボジアの12世紀末の神像の組み合わせなどが良い例だろう。オンライン・ビューも開催されるので、日本からでもチェックしてほしいフェアのひとつだ。
日程:5月10日(金)~ 5月14日(火)
会場:パーク・アベニュー・アーモリー
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12.台北当代(台湾)
アート・バーゼル香港に続き、アジアの主要アートフェアのひとつに台湾で開催される台北当代がある。実力のある国際的なギャラリーを集めた「ギャラリーズ」、特別にキュレーションされた「イヴォーク」、台湾の歴史や美術の伝統に重点を置いたプレゼンテーションをする「エンゲージ」、若手作家の個展、二人展形式の「エッジ」の3セクションで展示される。
日程:5月10日(金)~ 5月12日(日)
会場:台北南港展覧館
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13.アート・バーゼル(スイス)
現在世界中でひっきりなしに開催されているアートフェアの元祖ともいえるのがこのアート・バーゼルだ。その歴史は1970年から始まり、現在ではマイアミビーチ、香港、パリに拡大している。世界各地から200軒以上のギャラリー、4000を超えるアーティストの作品が並ぶこのフェアには、毎月のように世界各地のアートフェアにブースを出すベテランのギャラリーも一段と気合いの入った作品リストを用意して臨んでいる。フェア開催期間中は後述するリスト・アート・フェアをはじめ、様々なサテライトフェアやアートイベントが開催される。
日程:6月13日(木)~ 6月16日(日)
会場:メッセ・バーゼル
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14. リスト・アート・フェア・バーゼル(スイス)
ブルーチップギャラリーによって一流の美術作品を披露するアート・バーゼルとは対照的に、エッジの効いた作品を発表するのがこのリスト・アート・フェア・バーゼルである。出展ギャラリーには、デジタル作品に強いギャラリーや、新世代のアーティストを発表するディーラーが多くみられる。リストの他にも、ジューン・バーゼルやバーゼル・ソーシャル・クラブといったアートフェアや関連イベントを同時に鑑賞するのもおすすめだ。
日程:6月10日(月)~ 6月16日(日)
会場:メッセ・バーゼル
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