古代中国では青銅を国家が管理していた──長江流域で3000年前の巨大工房跡を発見
中国・長江近くの神墩頭遺跡で、周代の青銅産業に関連する遺構と遺物約1000点が見つかった。青銅が国力を左右した時代、国家主導の生産体制の実像が浮かび上がってきた。
中国・長江近くの安徽省蕪湖市繁昌区にある神墩頭遺跡で、この2年間に行われた発掘調査により、周代(紀元前1046年頃〜紀元前256年)の青銅産業に関連する遺構と、遺物約1000点が見つかった。
古代中国における青銅器時代は、夏・殷・周の各王朝にまたがる時期にあたり、銅を主成分にスズなどを加えて作られた合金「青銅」が、文明の発展を支える不可欠な資源だった。
面積約8万平方メートルに及ぶ同遺跡では、これまでに発掘されたのは約1600平方メートルにとどまる。それにもかかわらず、長江下流域では最古となる、周代の大規模青銅鋳造遺跡であることがすでに明らかになっている。
地元紙チャイナ・デイリーによると、遺跡からは多数の鋳造関連遺構が確認され、ナイフ、斧、鋤、鏃といった簡素な青銅製品のほか、砕けた炉材や陶製の鋳型などが出土した。これらは博物館に並ぶ祭器用青銅器と比べると華やかさに欠けるが、青銅がどのように生産され、流通し、そして大規模に管理されていたのかを示す重要な手がかりとなっている。
発掘を率いる南京師範大学の考古学者、王志高は、多数の鋳造関連遺構の存在について「ここが高度な工房であったことを示しています」と説明する。
さらに注目されるのは、この遺跡が青銅の製錬と鋳造をめぐる「国家統制システム」の存在を裏付けている点だ。王は、これが当時の権力維持に不可欠な要素だったと指摘し、こう続けた。
「当時、青銅技術は国力を象徴するものであり、この産業は政府によって厳格に管理されていました。青銅を掌握した者が、より優れた武器や道具を生み出すことができたのです」
こうした統制体制は遺跡の構造にも明確に表れている。炉や青銅器関連遺物が確認された作業区域は、土塁と壕で囲まれており、厳重な監督と防衛のもとで生産が行われていたことを示している。
当時、周王室は中原を統治する一方で、各地には多くの諸侯国が成立し、資源と権力をめぐって競い合っていた。調査に携わった考古学者の徐亮は、神墩頭遺跡が長江デルタ一帯を支配した呉の典型的な特徴を示していると指摘する。その青銅産業は、紀元前6世紀における呉の勢力拡大を支えた可能性が高い。
神墩頭遺跡の遺産は現在にも受け継がれている。遺跡のある繁昌区や隣接する銅陵市は、今日でも中国有数の銅生産拠点として知られる。
徐亮によれば、今後もさらなる発掘を予定しているという。古代の産業と社会の実態を解き明かすさらなる手がかりが得られることが期待されている。(翻訳:編集部)
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