鉄道建設予定地で「頭蓋骨が並ぶ祭壇」出土──トルテカ文明の生贄儀礼か

メキシコ中部にあるトルテカ文明(6世紀〜12世紀頃)の遺跡「トゥーラ・チコ」近郊で、石製の祭壇が発見された。古代メキシコで強大な力を持った都市文明の儀礼や生贄の実態に迫る手がかりとして注目されている。

メキシコ中部イダルゴ州で発見されたトルテカ文明の祭壇。Photo: Gerardo Peña/Courtesy National Institute of Anthropology and History

メキシコ中部イダルゴ州にあるトルテカ文明(6世紀〜12世紀頃)の遺跡「トゥーラ・チコ」近郊で、約1000年前のものとみられる石製の祭壇が発見されたと、メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)が発表した

この祭壇は、メキシコシティ〜ケレタロ間に計画されている全長232キロの新たな旅客鉄道路線の建設に伴う発掘調査の過程で発見された。祭壇は一辺約90センチの正方形で、安山岩・川石・玄武岩などを組み合わせた三層構造となっている。内部からは人骨や土器鉢1点、黒曜石の破片、複数の石刃が出土した。また、祭壇基底部の三辺には人骨が並べられており、頭蓋骨4点と、大腿骨と思われる長骨も確認された。

アート・ニュースペーパーによると、祭壇はトゥーラ・チコ遺跡の外縁から約300メートルの地点に位置し、トルテカ文明最大の宗教施設であるトゥーラ・グランデに隣接している。年代は、トルテカ文明の最盛期にあたる西暦900年から1150年頃とみられ、地域の上位階級が居住していた複合施設の一部だった可能性がある。

発掘を指揮するビクトル・フランシスコ・エレディア・ギジェンはINAHの発表で、出土した人骨は生贄として捧げられた人物の遺体の一部である可能性が高いと述べている。

今回の発見について、メキシコの文化大臣クラウディア・クリエル・デ・イカサは次のようにコメントした。

「こうした発見の一つひとつが、メソアメリカの偉大な文明に関する理解を深めてくれます。この事業は、わが国の文化政策の中核にある理念を体現するものです。メキシコの考古学的遺産は人々の記憶そのものであり、国家はそれを調査・保護し、現世代から将来の世代へと継承する責任を担っています」

出土した人骨は、メキシコ国内の州立研究機関で年齢・性別、さらには死因について分析が進められている。現在も鉄道建設ルート沿いでは発掘調査が続いており、今後さらなる発見が期待されている。ギジェンはアート・ニュースペーパーの取材に対し、「今回の祭壇周辺を含む4カ所で発掘が進行中です。発見はさらに増えていくでしょう」と語った。(翻訳:編集部)

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