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ロンドン観光で行きたい現代アート美術館・ギャラリー20選【2024年版】

古代の石器からルネッサンス期の巨匠の作品、近現代美術のマスターピース、現代を代表する各国のアーティストの作品まで、世界中からアートが集まるロンドン。なかでも現代アートを楽しみたいという人に向け、マストチェックな美術館・ギャラリーをご紹介。

Photo: Getty Images

都市全体に無数の美術館やギャラリーが広がるロンドン。古今東西800万点の品々がコレクションされている大英博物館や、レンブラントゴッホなどの作品を収蔵するナショナル・ギャラリーなど、美術史に残る名作を鑑賞しに行く人も多いだろう。

しかし、気鋭のアーティストやキュレーターが集まるこの街では、現代アートも外せない。セントラル・ノース・サウス・イースト・ウェスト・ロンドンまで、ロンドンで行きたい現代アート美術館・ギャラリー20選を紹介しよう。

1. テート・モダン

Photo: Alex Segre/UCG/Universal Images Group via Getty Images

1900年代から現代までのコレクションを揃えたテート・モダンパブロ・ピカソ草間彌生アンリ・マティスなど世界有数のアーティストの絵画や彫刻、大規模インスタレーションを所蔵する。社会や素材、メディアといったテーマ別に展示されており、時間軸とは異なる作品ごとの繋がりを体感できるのが魅力だ。

特徴的な外見の建物は、発電所を改修したもの。かつて巨大な発電機が置かれていたエントランス「タービンホール」では、毎年ひとりのアーティストが大型作品を展示する。これまでアニッシュ・カプーアオラファー・エリアソンルイーズ・ブルジョワなど名だたるアーティストたちが展示を手がけてきた。テムズ川にかかるミレニアム・ブリッジを渡ってすぐにあるため、観光でも訪れやすいロケーションだ。


休館日:なし
入場料:無料、企画展によって有料
公式サイト:https://www.tate.org.uk/visit/tate-modern


2. バービカン・センター

Photo: Getty Images

バービカン・センターは、ロンドン市によって設立、運営されているヨーロッパ最大の文化施設だ。映画から音楽、演劇、ダンス、ビジュアル・アーツまで、さまざまな分野を越境しながら、アート&ラーニング・センターのモデルを築き上げてきた。

アートギャラリーだけでなく、映画館や劇場、図書館やカフェなども併設されており、無料で楽しめるイベントもある。訪れた際はブルータリズム建築の傑作と評される無機質なコンクリートで覆われた建築にも注目してほしい。なおコンサートホールは、英国を代表するふたつの名楽団、ロンドン交響楽団とBBC交響楽団の本拠地としても有名だ。


休館日:なし(クリスマス、ボクシングデーは除く)
入場料:館内入場無料、展覧会の入場は有料
公式サイト:https://www.barbican.org.uk/ 


3. ホワイトチャペル・ギャラリー

Photo: Getty Images

古着屋やビンテージマーケットが立ち並ぶイースト・ロンドン。ブリック・レーンを南下した先にあるのがホワイトチャペル・ギャラリーだ。国内外の同年代の作品を広く紹介すべく1901年に英国文化庁によって創設された。ピカソの《ゲルニカ》をイギリスで初めて展示したギャラリーとしても知られる。

常設コレクションをもたないが、展示プログラムではアフリカ、インド、ラテンアメリカの若手アーティストを紹介する展示から、ピカソ、マーク・ロスコ、ジャクソン・ポロックなど巨匠のアーティストを紹介する展覧会まで多岐にわたる。ギャラリースペースのほかにも、映像作品や映画上映コーナー、ブックストア、カフェなども充実している。


休館日:月曜日
入場料:無料、企画展は12ポンド
公式サイト:https://www.whitechapelgallery.org/


4. フォトグラファーズ・ギャラリー

オックスフォード・ストリートをソーホー側に向かった場所に位置するフォトグラファーズ・ギャラリーは、写真の魅力やその社会への影響力を伝える美術館だ。展覧会のほか、新進、中堅の写真家の作品を販売、展示するプリント・セールスのエリアもある。展示スペースは4つのフロアに分かれており、ひとつのテーマやフォトグラファーを取り上げて写真がキュレーションされている。

写真にはあまり詳しくない、という人もご安心を。作品の解説から作品の購入にいたるまで、フォトグラファーズ・ギャラリーのスタッフが初心者にも丁寧に案内してくれる。金曜の夕方5時以降の無料入場もうまく活用したい。


休館日:なし
入場料:8ポンド
公式サイト:https://thephotographersgallery.org.uk/


5. サーペンタイン・ギャラリー

Photo: Frédéric Soltan/Corbis via Getty Images

サーペンタイン・ギャラリーは40年以上にわたり、アート、建築、デザインの分野で新進気鋭の才能と世界的アーティストを紹介してきた現代アートギャラリー。ギャラリーの共同ディレクターの一人であるスイス人キュレーター、ハンス・ウルリッヒ・オブリストは数々の国際展を手掛け、『アート・レビュー』誌の「パワー100」で1位にも選ばれている。アートブック好きには、 ドイツの美術書の専門店Koenig Booksが運営する館内の書店もおすすめしたい。

ロンドン市民の憩いの場、ハイド・パークとそれに隣接するケンジントン・ガーデンズの中にあるので、公園の緑を楽しみつつ現代アートを堪能するのもいいだろう。また、毎年夏にはギャラリー前に期間限定の「サーペンタイン・パビリオン」が登場する。著名な建築家やアーティストが設計し、イギリスの社交イベントであるサマー・パーティの会場ともなるこのパビリオンは、ロンドンの夏の風物詩だ。


休館日:月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.serpentinegalleries.org/


6. ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)

Photo: Getty Images

ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)は、デザインを軸として古代の美術品や工芸品から現代アートなど、約230万点もの豊富な常設コレクションを所蔵する世界最大規模の博物館である。ヴィクトリア女王とアルバート公にちなんで1852年にサウス・ケンジントン駅の北側に設立された。

2018年に開催されたディオールの「Christian Dior: Designer of Dreams」やスーパーモデル、ナオミ・キャンベルのキャリアを振り返る「NAOMI」展など、従来の型にはまらない展示も多く手がけてきたV&A。2024年7月からは、テイラー・スウィフトのアイコニックな衣装を展示する「Taylor Swift | Songbook Trail」も開催予定。また、このエリアは複合展示施設のクロムウェル・プレイスやロンドン自然史博物館が隣接しており、アートや文化を体験したい人にはもってこいだ。


休館日:なし(クリスマス、ボクシングデーは除く)
入場料:無料
公式サイト:https://www.vam.ac.uk/


7. ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ

Photo: Getty Images

ロンドンのピカデリーに位置するロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RA)は設立から250年の歴史をもつ王立芸術院だ。イギリスで最も長い歴史を持つアートスクールの運営もしており、3年生の大学院教育を受けることができる。

そのキャンパス内では古代ギリシア時代の歴史的美術品のコレクション展示から、新進気鋭のアーティストによる世界最大の公募展まで、さまざまな展示企画が開催されている。RAが位置するピカデリーのエリアには現代アートのギャラリーも多く、一緒に回ってみるのも良いだろう。


休館日:月曜日
入場料:無料、企画展によって有料
公式サイト:https://www.royalacademy.org.uk/


8. サーチ・ギャラリー

Photo: Getty Images

アートコレクター、チャールズ・サーチによって設立されたサーチ・ギャラリー。チャールズ・サーチは、ダミアン・ハーストなどイギリス人若手アーティストの一団、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)を世に知らしめたことで知られる。

現在ギャラリーの運営はチャールズ・サーチの手から離れ、2019年に登録慈善団体となった。現在は新進アーティストの個展、ファッションをテーマにした展覧会、アーティストプライズの発表、アートフェアなど、分野や媒体を超えて現代アートをサポートする役割を担っている。15の部屋で開催される展覧会はもちろん、写真集からアートブック、家具や雑貨など幅広く取りそろえたミュージアムショップも必見だ。


休館日:クリスマスとその翌日
入場料:無料、企画展により有料
公式サイト:https://www.saatchigallery.com/


9. ホワイトキューブ・バーモンドジー

Photo: Oli Scarff/Getty Images

1993年設立のホワイト・キューブは、パリ、ニューヨーク、香港、そして2023年9月にソウル支店をオープンしたイギリスを代表するビッグギャラリーのひとつ。これまでトレイシー・エミン、シアスター・ゲイツ、イブラヒム・マハマといったトップアーティストの作品を扱ってきた。

ロンドン市内には2か所の展示スペースを構えるが、ホワイトキューブ・バーモンドジーは5440㎡以上もの床面積を有し、プライベートギャラリーとしてはヨーロッパ最大規模を誇る。「白い箱」を意味するその名の通り、大きくひらけた真っ白な展示室に連作や大型の作品が並ぶ展示も多い。


休館日:月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.whitecube.com/ 


10. ヴィクトリア・ミロ

Photo: Getty Images

地下鉄ノーザン・ライン、オールド・ストリート駅とエンジェル駅の中間に位置するヴィクトリア・ミロ。ドアベルを鳴らし中に入ると、そこには700平方メートルを超える展示スペースが広がっている。

1985年から続くヴィクトリア・ミロはイギリスを代表する現代アートギャラリーのひとつであり、現在40人以上のアーティストの作品を発表している。ギャラリー内のふたつのフロアはもちろん、居心地のよい中庭も楽しんでほしい。


休館日:日、月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.victoria-miro.com/ 


11. クィアサークル

2022年6月。ロンドン東部のグリニッジにギャラリー併設のコミュニティ・スペースとしてオープンしたクィアサークル。その目的は、LGBTQ+のアーティストを支援することにある。これまでLGBTQ+のアーティストによる展覧会やワークショップ、メンタルヘルス、ウェルビーイングのプログラムを開催している。

クィアサークルはギャラリースペースでの展覧会に加えて、テート・ブリテンやヴィクトリア・ミロのLGBTQ+をテーマにした展示にも関わり、ロンドンベースのLGBTQ+コミュニティとしての影響力を広げている。


休館日:月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://queercircle.org/ 


12. インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アーツ(ICA)

Photo: Getty Images

1946年設立、インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アーツ(ICA)は映画、写真、デジタルアートの革新的な展覧会を企画するカッティングエッジな現代アート美術館だ。美術館はトラファルガー広場からセント・ジェームス公園方向に徒歩4分の場所に位置し、ナショナル・ポートレート・ギャラリーからも歩いてすぐの距離にある。

2019年からフォトグラファーのヴォルフガング・ティルマンスが理事長を務めており、ユースカルチャーを長年追ってきたティルマンスらしく、夜10時から朝まで開催しているイベントなども開催されている。展示スペースに加え劇場と2つの映画館、ブックストアとカフェが併設されており、じっくりとアートを楽しめる。


休館日:月曜日
入場料:6ポンド
公式サイト:https://www.ica.art/ 


13. ザ・アプローチ

ロンドンのイースト・エンド、ベスナル・グリーンの住宅街にあるザ・アプローチは、1997年に設立され25年以上の歴史をもつギャラリーだ。主に新進気鋭のアーティストのキャリア形成や国際的なグループ展に力を入れており、これからのシーンを牽引するであろうアーティストの作品を鑑賞できる。

建物1階はパブになっており、パブの中の階段を登るとギャラリースペースに入ることができる特徴的な構造となっている。イースト・ロンドンまで足を延ばした際は、アートとビールを楽しんでもらいたい。


休館日:日、月、火曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.theapproach.co.uk/ 


14. リッソン・ギャラリー

ニューヨーク、ロサンゼルス、上海、北京と世界各地にギャラリーを持つリッソン・ギャラリーは、1967年にロンドンから始まった。アート・アンド・ランゲージやカール・アンドレといったミニマル、コンセプチュアル・アートの重要人物の黎明期を支え、トニー・クラッグ、リチャード・ディーコン、アニッシュ・カプーアなどイギリス人彫刻家を長年紹介している最重要現代アートギャラリーのひとつだ。

 ギャラリーが位置するエッジウェア・ロード駅周辺は古くからアラブ系、中東系の移民が多く住んでいたこともあり、中東系の食品や雑貨店、シーシャ店などが多く立ち並ぶ。


休館日:日、月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.lissongallery.com/ 


15. セイディ・コールズHQ

セイディ・コールズHQのオーナーであるセイディー・コールは、1997年にロンドンにスペースを持ち運営をスタート。現在はソーホー、メイフェア、セント・ジェームス、3つのスペースにてイギリスの新進気鋭のアーティストの展覧会に力を入れている。

アート・バーゼルやフリーズといった世界的なアートフェアにも常連で、東京現代にも2年連続で出展している。


休館日:日、月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.sadiecoles.com/


16. ユニオン・パシフィック

ロンドンの金融街、シティに位置するオルドゲイト駅周辺にはいくつか現代アートギャラリーがある。そのひとつであるユニオン・パシフィックは2014年にこのエリアにオープンした。

オープンして10年ほどだが、フリーズアート・バーゼルの出展を果たし、今井麗、土屋麗、松原 壮志朗など日本人アーティストも積極的に紹介している注目のギャラリーだ。近くには後述するパブリック・ギャラリーや日本のアーティストをロンドンに紹介し続けているYamamoto Keiko Rochaixなどもあるため、一緒に回ってみてほしい。


休館日:日、月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.unionpacific.co.uk/


17. パブリック・ギャラリー

ユニオン・パシフィックと同じくシティに位置するパブリック・ギャラリーは2020年にオープンした新興ギャラリーだ。階違いの2つのフロアでは油彩表現から前衛的なプレゼンテーションまで若手現代アート作家の実践を支援し続けている。

初めて出展した2023年のフリーズ・ロンドンではブース・プライズを獲得し、世界的に注目を集めるギャラリーのひとつだ。


休館日:日、月曜日
入場料:無料
公式サイト:https://gallery/


18. エマーリン

カフェやショップ、パブが多く集まるイースト・ロンドンのショーディッチに構えるのがこのギャラリーだ。ショーディッチ・ハイ・ストリート駅からすぐの場所にあるエマーリンでは絵画、彫刻、写真、映像、サウンド、パフォーマンス、インスタレーションと、様々なメディアを扱うアーティスト16名を取り扱っており、彼らの作品の美術館収蔵やビエンナーレへのコミッションなどを通じて作家のキャリア形成に力を入れている。

2024年1月からはギャラリーから北に5分ほど歩いた箇所に2つ目のスペースをオープンしており、ショーディッチエリアを散策しながら訪れてみるのもいいだろう。


休館日:日曜日
入場料:無料
公式サイト:https://www.emalin.co.uk/


19. ナショナル・ポートレート・ギャラリー

Photo: In Pictures Ltd./Corbis via Getty Images

チャリング・クロス駅、ナポレオン戦争の勝利を記念して造られたトラファルガー広場の向かいにあるナショナル・ギャラリーの別館にあたるのがこのナショナル・ポートレート・ギャラリー(国立肖像画美術館)だ。

ここでは15世紀後半のテューダー朝時代から現代にいたるまで、様々なジャンルの偉人の肖像画を展示している。昨年の6月下旬にリニューアルオープンされたこの美術館はコヴェントガーデンやソーホーエリアからも近いためロンドン観光にはもってこいの美術館だろう。


休館日:なし
入場料:無料、企画展により有料
公式サイト:https://www.npg.org.uk/ 


20. テート・ブリテン

Photo: Jeff Greenberg /Getty Images

前述したテート・モダンと同じテート・ギャラリーが運営する美術館。ロンドンのランドマーク、ビッグベンを南に向かうと見えてくるテート・ブリテンでは、1500年代から今日にいたるまでのイギリスの美術の歴史が展示されている。

イギリス生まれ、またはイギリスを拠点に活動するアーティストに毎年贈られる英国美術界最高の賞である「ターナー賞」の展示も、このテート・ブリテンが開催地だ。伝統的なイギリスの美術史から現代アート、どちらも楽しみたい人はぜひ足を運んでみた欲しい。


休館日:無休
入場料:無料、企画展によって有料
公式サイトhttps://www.tate.org.uk/visit/tate-britain


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