中国考古学界の重鎮が収賄と横領認める──世界遺産・良渚古城遺跡の発見を主導

中国・長江下流域の古代都市、良渚古城遺跡発見の立役者として知られる中国の考古学者、劉斌が、多額の収賄および研究資金横領の不正を働いたことを認めた。同遺跡は、2019年にユネスコ世界遺産に登録されている。

中国浙江省杭州市にある良渚古城遺城公園を視察するユネスコの第3回ハイレベル・ミュージアム・フォーラム参加者(2025年4月23日撮影)。Photo: Jiang Han/Xinhua News Agency via Getty Images

中国南東部の長江下流域に位置する良渚古城遺跡(紀元前約3300年〜紀元前2300年頃)は、新石器時代後期の中国に興った地域国家の先駆けとされ、2019年にユネスコ世界遺産に登録されている。その発掘・研究を主導し、世界遺産登録にも尽力した中国の著名な考古学者、劉斌が、5月20日に収賄および研究資金横領の罪状を認めた。

中国の経済メディア財新グローバルの報道によると、劉は465万元(約1億1000万円)以上の賄賂を受け取ったほか、良渚文化に関連する研究プロジェクトから30万元(約700万円)を横領したとして浙江省遂昌県の人民法院で起訴された。同メディアはまた、劉が2025年12月に当局に拘束され、今年2月に正式に逮捕されたと伝えている。量刑については現時点で明らかになっていない。

吉林大学で考古学を学んだ劉は、1985年に浙江省文物考古研究所に入所し、後に副所長、所長となった。1986年に良渚反山遺跡の発掘調査に加わり、第12号墓をはじめとする成果を上げた。2007年には良渚の都市遺跡を発見。中国はこの発見を根拠として、世界で最も早くに栄えた都市文明の1つが長江下流域にあったと主張している。財新は、劉が良渚古城遺跡の世界遺産登録の功績によって国内で高い評価を得たと伝えている。

2020年9月、人文科学分野の第一人者として浙江大学に着任した劉は、その後、芸術考古学部の教授、同学部付属芸術考古学博物館の館長、および同大学文化遺産研究院の院長を歴任。2025年7月から事件が発覚するまでは、芸術考古学学院の教授を務めていた。

検察側は、劉が2009年から2021年4月にかけ、研究所での地位を利用して企業や個人が文化財保護や考古学調査プロジェクトの認可を取得し、審査に合格できるよう便宜を図ったと主張。また、2008年に劉は、良渚古城遺跡の外側約7平方キロに及ぶ発掘調査プロジェクトを陝西龍騰文化財保護有限公司に委託した。同社の株主である王林は劉の大学時代の同級生の親族で、検察は王が劉に140万元(約3300万円)以上の「謝礼」を支払ったとしている。

財新によると、2016年にも浙江省安吉県にある遺跡の探査業務を同社が受注したほか、劉は王が実質的に支配する別の会社に良渚遺跡のデジタル情報収集プロジェクトを委託し、その見返りとして金銭を受け取っていた。財新の取材に応じた情報筋によると、劉は受け取った金を娘の住宅購入の頭金に使ったという。

劉の弁護士は、王から受け取った220万元(約5200万円)は劉が公職を離れた後に受け取ったものだとし、公務員が贈収賄罪で起訴されるのは在職中に交わされた合意の場合に限られると反論。また、王からの20万元(約470万円)の結婚祝い金は刑事裁判ではなく、懲戒手続きで処理されるべきだと述べている。(翻訳:石井佳子)

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