古代の目撃記録と「わずか8年差」──ポンペイを埋めた噴火が、地球の歴史を測る「物差し」に

紀元79年にポンペイを襲ったヴェスヴィオ火山の噴火について、古代の目撃記録から推定される年代と火山の噴出物の測定結果を比較した研究で、年代測定法の精度が向上した。両者の差はわずか8年だった。

ポンペイ遺跡とヴェスヴィオ山。Photo: Getty Images

紀元79年のヴェスヴィオ火山の噴火を手がかりに、岩石や鉱物の年代を調べる「アルゴン・アルゴン年代測定法」の精密さを高めた研究が発表された。Archaeology Newsが伝えた。

約2000年前、古代ローマの著述家で法律家でもあった小プリニウスは、ヴェスヴィオ火山の噴火を記録に残した。この噴火でポンペイは埋没し、叔父の大プリニウスを含む約2000人が犠牲になったとされる。小プリニウスの記述から推定される紀元79年8月24日という噴火日は、火山噴火の年代測定法を検証する際の基準となってきた。

学術誌Science Advancesに発表された研究では、アルゴン・アルゴン年代測定法を改良し、その結果をヴェスヴィオ火山の噴火年代と照らし合わせた。この方法は、カリウムを含む鉱物「サニディン」などに含まれるアルゴンの同位体の比率から年代を求める。同位体とは、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子のことだ。

研究チームが、噴出物に含まれる鉱物「サニディン」の試料8点を分析したところ、噴火は2025年の測定時点から1938±13年前と算出された。紀元79年という史料上の年代は、測定時点から1946年前に当たる。測定結果の誤差は約13年で、史料上の年代との差はわずか8年だった。研究チームは、これを精密さ0.7%、正確さ0.4%に相当するとしている。

地質学的には比較的新しい約2000年前の噴火について、これほど精密な結果が得られたことは同測定法の有用性を示している。研究に参加したカリフォルニア大学バークレー校の地質年代学者、ポール・レンは「比較的近い過去の火山噴火史を解明するには、測定の精密さと正確さが極めて重要です。今回の研究は、歴史時代の噴火でも実用的な水準でその両方を達成できることを示しています」と述べた。

この成果は、現在も火山の脅威にさらされているメキシコシティ、イタリアのナポリ、インドネシアのジョグジャカルタなどの都市周辺で、過去に起きた噴火の年代を詳しく調べるのに役立つ可能性がある。また、隕石の衝突と大量絶滅のように、地質記録に残る出来事の前後関係や因果関係を検討する手がかりにもなる。

研究チームは、改良した測定法を、比較的新しい有機物に用いる放射性炭素年代測定法や、古い岩石に用いるウラン・鉛年代測定法の検証にも役立てたいとしている。これまでベイズ統計を用いて異なる測定法の結果を比較してきた研究にとっても、年代が史料から推定できるヴェスヴィオ火山の噴火は精密な測定結果を確かめるための重要な基準となる。

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