過去のミスも修正、約1900年前の「ミイラ肖像画」が海外初公開へ──古代エジプトの「2人の兄弟」

シロアリとみられる虫の被害を受けていた古代エジプトのミイラ肖像画が、3週間にわたる修復作業を経て、初めて国外で展示される。過去の修復によって生じた誤りも修正され、11月からローマで公開される予定だ。

2世紀頃に制作されたミイラ肖像画《The Tondo of the Two Brothers》。Photo: Courtesy of Egyptian Museum
2世紀頃に制作されたミイラ肖像画《The Tondo of the Two Brothers》。Photo: Courtesy of Egyptian Museum

古代エジプトのミイラ肖像画が、初めての海外展示を前に修復された。

2世紀に描かれた《Tondo of the Two Brothers》は、ミイラ肖像画のひとつだ。ミイラ肖像画は、カイロの南西に位置するファイユーム地方で多く発見されたことから、「ファイユームのミイラ肖像画」とも呼ばれる。主に木板に故人の顔を描き、ミイラの顔部分に取り付けられたもので、制作には熱した蜜蝋と顔料を混ぜ合わせるエンカウスティークという技法などが用いられた。

カイロのエジプト考古学博物館は、ローマの修復専門家らと協力し、3週間かけてこの円形画の修復にあたった。木製の支持体はシロアリとみられる虫の被害によって損傷し、彩色面の一部も剥落する危険があったが、今回の修復によって状態が改善された。

今回の修復では、過去の修復作業で生じた誤りも修正された。具体的には、画面右側の人物の口やアゴが描かれた破片が本来の位置に戻されている。エジプト観光・考古省が公開した動画には、その修復過程が収められている。

修復を終えた円形画は、11月5日にローマのアラ・パキス博物館で開幕する展覧会「The Power of Portraiture: Egypt and Rome. Faces of Fayum」に出品される。本展には、本作をはじめとするエジプトから貸し出される約60点の肖像画や、パリのルーブル美術館などから出品される作品を含め、110点以上の作品や資料が集結する。エジプトの観光・考古相を務めるシェリフ・ファティは、AP通信に対して次のように語っている。

「今回の修復は、文化遺産の保存と研究における国際協力の成果を示す好例です。エジプトとイタリアには歴史的にも文化的にも深いつながりがあり、このプロジェクトでは両国の専門家が知見を結集し、貴重な芸術作品を未来の世代へと残すために取り組んでいます」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

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