沈没から100年、タイタニック姉妹船の記憶が海底から蘇る! 豪華な装飾品などを発見

1916年に沈没したタイタニック号の姉妹船ブリタニック号から、双眼鏡や銀製トレイなどの遺物がエーゲ海底で回収された。これらの遺物は現在調査が進められており、新設されるギリシャの国立博物館に展示される予定だ。

ブリタニック号。Photo: George Rinhart/Corbis via Getty Images
ブリタニック号。Photo: George Rinhart/Corbis via Getty Images

エーゲ海の海底から、タイタニック号の姉妹船であるブリタニック号の乗客が使っていた双眼鏡や一等船室に備え付けられていた銀メッキのトレイなどが発見されたことを、ギリシャ文化省が発表した。100年以上前に沈没したこの船の発掘調査は5月上旬に1週間かけて行われ、ダイバーたちによって遺物が回収されたという。

タイタニック号が沈没した2年後の1914年に進水し、翌1915年に竣工したブリタニック号は、豪華客船として設計されたが、第一次世界大戦が勃発したことで病院船としてイギリス海軍に徴用された。その後、地中海で負傷兵を輸送している際にブリタニック号はドイツ軍の機雷に接触し、アテネから南東約75キロメートル離れたケア島沖で沈没。乗客は全員脱出できたものの、2隻の救命ボートが船のプロペラに巻き込まれ、30人が死亡した。

沈没したブリタニック号は、フランスの海洋学者で水中考古学者の先駆者であるジャック=イヴ・クストーによって、1975年に発見された。その約20年後に海洋史愛好家のサイモン・ミルズが、ブリタニック号の歴史を振り返るために沈没船の権利をイギリス政府から購入している。遺物の回収と調査もミルズによって企画され、ギリシャ法に従い同国の水中古物監督局(EUA)が監督した。しかし、この調査で回収を予定していた遺物すべてを回収することはできず「潮の流れや沈没船の深さ、視界不良によって現場での作業は困難を極めた」と、文化省は発表している。

今回の調査では、トルコ風呂を装飾していた陶器製のタイルや船の見張り鐘も回収されている。これらは現在、ケア島のEUAの研究所で保存処理が施されており、さらなる調査も実施されている。これらの品々は、ギリシャのピレウスで建設中の国立水中古物博物館に展示される予定だ。(翻訳:編集部)

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