レストランから消えたピカソの版画6点、衣類と工具箱の下から発見。約1カ月ぶりに無傷で戻る

南仏のレストランから盗まれたピカソの版画6点が、約1カ月後に無傷で回収された。隠し場所は、アパートの一室に積まれた衣類や工具箱の下。容疑者7人が逮捕され、関係者に安堵が広がった。

1966年、ムージャンでのパブロ・ピカソ。Photo: Tony Vaccaro / Getty Images

フランス南部のコート・ダジュールで盗まれたパブロ・ピカソ(1881-1973)の版画6点が、約1カ月後にアパートの一室から無傷で回収された。作品は、積み重なった衣類や工具箱の下に隠されていたという。

版画が盗まれたのは、ムージャンにある老舗レストラン「ラマンディエ(L’Amandier)」だ。フランス料理の巨匠ロジェ・ヴェルジェが1977年に開いた店で、過去にはミシュランの星も獲得している。ムージャンは、ピカソが1961年から1973年に亡くなるまで暮らした村としても知られる。

10月2日午前2時ごろ、手袋と覆面を着けた男2人が店内に侵入し、1分足らずで版画を持ち去った。その朝、オーナーのマチュー・オータンが盗難に気づき、地元当局に通報。国家憲兵隊のカンヌ捜査班が捜査を担当した。

ベルギーのメディア、ラ・リーブルによると、被害額は10万ユーロ(約1780万円)を超えると推定される。ピカソ作品としては比較的低い金額だが、売却は容易ではなかったようだ。

カンヌの国家憲兵隊を指揮するギヨーム・プレディ中佐は、フランス紙ル・モンドに対し、盗まれた版画は「簡単に売りさばける作品ではなかった」と説明した。容疑者たちは美術市場に精通しておらず、買い手を見つけるための知識や人脈も持ち合わせていなかったという。むしろ、「薬物や武器に関する犯罪で知られる者たち」だった。とはいえ、捜査には迅速な対応が求められた。プレディは、その理由をこう語る。

「急いで動かなければなりませんでした。こうした作品は転売され、そのまま美術市場に戻ってこなくなる危険性が高いのです」

11月3日、国家憲兵隊員約40人がアパート2軒を捜索し、版画を発見。18〜30歳の容疑者7人が逮捕された。ル・モンドによると、窃盗の実行に関与した疑いのある3人と、共犯者4人だという。憲兵隊は、作品が完全な状態で回収され、返還されたと発表している。

この事件は被害額こそ比較的小さいものの、ヨーロッパで美術品盗難が相次ぐなかで注目を集めた。2025年に大きく報じられたルーブル美術館の盗難事件以降も、フランスのカーニュ=シュル=メールにあるルノワール美術館や、イタリア・パルマ近郊のマニャーニ・ロッカ財団などで作品が盗まれている。

今回の回収には地元の美術館関係者からも安堵の声が上がった。ムージャン女性芸術家美術館の館長、リーザ・パオリは、次のように喜びを語った。

「作品が戻ってきて、本当にうれしく思います。もう国外に持ち出されてしまったのではないかと考えていました」

一方、ラマンディエのオーナーであるオータンは、安堵する一方で、いささか困惑した様子も見せた。フランスのテレビ局フランス2(France 2)に、こう話している。

「防犯体制を見直す必要があるかもしれません」(翻訳:編集部)

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