古代ローマ最大級の壁面モザイクに描かれた謎の港町──トラヤヌスの浴場地下で一般公開を開始

史上最大級とされる古代ローマの壁面モザイクの一般公開が開始された。これまで14年にわたり修復作業が続けられていたもので、海に面した街などが詳細に描かれている。

2026年9月8日、古代ローマのトラヤヌス浴場より早い時代にできた巨大なモザイク画が、地下回廊と南西側の半円形広間での修復作業を経て一般公開された。Photo: Filippo Monteforte/AFP via Getty Images

9月8日、ローマのロベルト・グアルティエーリ市長は、皇帝トラヤヌスの浴場で見つかった西暦1世紀の大規模な壁面モザイクを、同時に発見されたフレスコ画とともに一般公開した。当面、見学者は少人数に絞られている。

これらの装飾の存在は、コロッセオに近いオッピオの丘にあるトラヤヌスの浴場で1990年代に行われた遺跡発掘調査の際に確認されていた。しかし、浴場に先立って建設されたと見られるこの遺構は、最近まで完全には発掘されていなかった。トラヤヌスの浴場は西暦109年に完成した6ヘクタールを超える巨大な複合娯楽施設で、浴場のほか文化活動やスポーツを行う場所などが備わっていたという。

浴場の地下にある回廊を飾っていたモザイク画は、高さ約10メートル、幅約16メートルという古代ローマ最大級の規模だが、元はさらに大きかったと見られている。トラヤヌス浴場の建設時に上部が切り取られており、下部はまだ完全に発掘されていないからだ。

モザイク画の上部には列柱の間に神話の登場人物や髭を蓄えた哲学者などが配され、その下には港町の様子が詳細に描かれている。研究者たちは、それが当時実在した都市なのか、それとも理想的な都市を描いたものなのかは定かでないとしている。

発掘調査に携わった考古学研究者のフランチェスコ・パチェッティは声明で、「いずれにせよ、描写は非常に精緻です。石造りの壁や2つの塔を備えた正門があり、神殿の姿を垣間見ることができます」と述べている。

同じ遺構の別の場所からは、劇場や神殿、住居のある都市が俯瞰で描かれた大規模なフレスコ画が見つかっている。モザイク画やフレスコ画は、ローマの裕福な家族の邸宅(ドムス)、あるいは皇帝ネロが建設し、その死後に埋め立てられた宮殿「ドムス・アウレア(黄金宮殿)」を飾っていたのではないかと考えられている。

モザイク画とフレスコ画は今月から一般公開されるが、当初は15人程度のグループが対象となる。また、より多くの見学者が訪れる状況に耐えられるかどうかを見極めるため、少人数を対象とする試験期間中、古代の繊細な芸術作品の状態がモニターされる。(翻訳:石井佳子)

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