地衣類に覆われ庭に70年──「アメリカ初の職業女性彫刻家」の希少作を発見

イギリスの住宅の庭で、約70年間装飾品と思われていた大理石像が、19世紀の先駆的女性彫刻家ハリエット・ホズマーの希少作と判明。最高約380万円の予想価格でオークションに出品される。

ハリエット・グッドヒュー・ホズマー《ダフネ》(1854) Photo: Sepia Times/Universal Images Group via Getty Images

イギリス南西部コッツウォルズにある住宅の庭で、19世紀を代表するアメリカの女性芸術家で、フェミニズムの先駆者としても知られるハリエット・グッドヒュー・ホズマー(1830–1908)の希少な大理石彫刻が発見された。オークションでは、最高1万8000ポンド(約380万円)での落札が予想されている。

作品は、ホズマーが1854年に制作した《ダフネ(Daphne)》だ。ギリシャ神話でアポロンが最初に恋した女性ダフネが、胸元をあらわにして物憂げに視線を落とす姿で表現されている。背面には作家名とともに、「ローマが私をつくった」を意味するラテン語「Me Fecit Roma」が刻まれている。

1830年にアメリカ・マサチューセッツ州で生まれたホズマーは、アメリカ初の職業女性彫刻家とされている。創作活動の大半をローマで行い、男性中心だった当時の彫刻界で国際的な評価を確立した。また、同性間の関係が社会的に強く非難され、時には違法とされた時代に、女性との恋愛関係を公にしていたことでも知られる。

作品は約70年にわたって庭の装飾品だと思われ、地衣類に覆われたまま置かれていた。住宅の査定で現地を訪れたオークション会社チョーリーズのディレクター、トーマス・ジェナー=ファストが、その価値に気づいたという。

ジェナー=ファストはBBCに対し、ホズマーについて「並外れた人物でした。真の先駆者であり、フェミニズムの象徴です」と語っている。

ホズマーのデビュー作とされる《ダフネ》は、わずかしか制作されておらず、現存が確認されている大理石像のうち3点は、アメリカ各地の美術館に所蔵されている。今回発見された作品について、住宅を所有する一家は、20世紀半ばに先祖がオークションで購入したものと考えているが、それ以前の来歴は明らかになっていない。

ジェナー=ファストによると、鑑定結果を聞いた所有者たちは「かなり驚いていた」という。長年見慣れていたため、その材質や作者、価値に気づかなかったようだ。

「これが大理石製だということも、誰が制作したのかも、これほど価値があることも、全く知らなかったのです」

作品は今後、イギリス・グロスターにあるチョーリーズのオークションに出品される予定だ。(翻訳:編集部)

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