訴訟中のMidjourneyが反撃──ディズニーやワーナーらに生成AI利用の開示を求める

著作権侵害をめぐってディズニーをはじめとするエンタメ大手から訴えられているMidjourneyが、反撃に転じた。制作現場でのAI利用実態の開示を裁判所に求めている。

著作権侵害の疑いがあるとして、ディズニー側が提出したAI生成画像のひとつ。Photo: via Disney/NBCU lawsuit
著作権侵害の疑いがあるとして、ディズニー側が提出したAI生成画像のひとつ。Photo: via Disney/NBCU lawsuit

画像生成AIを提供するMidjourneyが、ウォルト・ディズニー・カンパニー、ユニバーサル・シティ・スタジオ、ワーナー・ブラザース・エンターテインメントに対し、各社のAI利用実態を開示させるよう連邦裁判所に求めている。著作権侵害をめぐって提訴された同社は、大手エンタメ企業側のAI利用を争点に持ち込もうとしている。

これらの制作会社は、自社が保有するキャラクターの著作権侵害をMidjourneyが助長しているとして、同社を提訴していた。敗訴すれば、多数のユーザーを抱えるMidjourneyにとって大きな打撃となる可能性がある。エンターテインメント誌バラエティによれば、Midjourney側はフェアユースを主張しており、自社を訴える根拠となった画像生成AI技術を、制作会社側も利用していると反論している。

こうしたなか、Midjourneyは制作会社が現場で使用しているAIツールに関する情報開示を求めた。しかし裁判所は、その情報が著作権侵害の争点とは無関係だとして、6月15日に同社の要求を退けている。これを受け、Midjourneyの弁護団は決定の再考を求める動議を提出しており、弁護士を務めるボビー・ガジャーは、次のように記している。

「もし制作会社が、自ら問題視している行為そのものを行っているのであれば、それはMidjourneyのフェアユースの主張や、クリーンハンズの原則(*1)を支える重要な根拠になります。例えば制作会社が、他社の著作物を無断で学習させた画像生成AIを、映画やテレビ番組のストーリーボード制作、コンテンツのアイデア出しなどの社内業務に使うために開発していたとしましょう。その事実が明らかになれば、著作物を無断でダウンロードしてAIに学習させる行為が、制作会社の間でも業界慣行になっていることを裏付ける証拠になります」

*1 自ら不当・違法な行為に関わった者は、同じ問題について法律上の救済を求められないとする法原則。

Midjourneyは、制作会社のAI利用について、事業計画やトレーニング用データセット、生成結果を左右するAI内部のパラメーター、取締役会で使われたプレゼンテーション資料に至るまで、前例のない水準の透明性を求めている。

一方、制作会社側の主任弁護士を務めるデイヴィッド・シンガーは、Midjourneyの動議について、法的責任から目を逸らすための「証拠漁り」だと非難した。シンガーは声明で、制作会社側が求めているのは「Midjourneyによる映画やテレビ番組、キャラクターの模倣を止めること」だと述べ、キャラクターの無断複製を含む作品の作成や配布の停止を求めていると主張している。今回の訴訟では、スーパーマンやスクービー・ドゥー、バッグス・バニーといったキャラクターが組織的に複製されているという制作会社の主張が焦点となっている。

こうした著作権をめぐる争いは、今回の訴訟に限ったものではない。Midjourneyは画像生成ツールを一般公開して以来、著作権をめぐる議論の中心に置かれてきた。2023年には3人のアーティストが、同社のシステムがスクレイピングされた何十億もの画像でトレーニングされており、同意や補償なしに自分たちのスタイルを模倣した作品を生成できるとして、集団訴訟を起こしている。この訴訟では、被告であるMidjourney、Stability AI、DeviantArtを「数百万人のアーティストの権利を侵害する、現代のコラージュツール」と批判している。ただし、生成AIの仕組みや利用実態を一括りにして論じることには、専門家から慎重な見方も出ている。一部の主張は棄却されたものの、裁判は現在もカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所で続いている。

2024年には、Midjourneyのトレーニングデータに作品が使われたとされるアーティスト約1万6000人を記した、24ページに及ぶGoogleスプレッドシートが公開された。このリストには、パブロ・ピカソフリーダ・カーロアンディ・ウォーホル草間彌生など、近現代アートを代表する作家たちの名前が含まれていた。さらに、2021年に小児病院の資金調達キャンペーンに参加した6歳の子どもの作品も、トレーニングデータとして使われていたという。

このリストは、2023年11月に提出された455ページに及ぶ補足証拠資料とともに、Stability AI、Midjourney、DeviantArtに対する修正集団訴訟の一部に組み込まれている。(翻訳:編集部)

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